※注意※
このショートストーリーは、テレビアニメ『えとたま』とカードゲーム『バトルスピリッツ』の架空デュエル作品です。
こういう作品が苦手な方は、ブラウザバックでお戻りください。
また、作者のバトスピの腕前は、正直中の上程度です。
物語ということもあり、ご都合展開や、非効率的な判断も含まれます。
ガチなバトルを所望されても責任は負いかねますので、予めご了承ください。
以上を踏まえた上で、「それでも良いよ」という方は、どうぞご覧くださいませ。
※尚、バトルシーンは後編となります。
この前編はバトル前の導入部分です。
*** *** *** 〜日本ではないどこかの国の草原〜 60年に一度、干支神の座を賭けて行われる、えと娘最大の神事『干支神選抜祭』――通称“ETM12” ネコ属の代表として、その神事に参加していたにゃ〜たんは、十一人の干支神から、認められた証『ソルラルシール』をもらい受けるも、 最後の一人、干支神最強のチュウたんからは手に入れることができず、えと娘のままETM12の期間を終えてしまった。 ただ、干支魂に負の感情が溜まり、暴走しかけていたチュウたんを正気に戻し、親友としての関係を修復できたことは、唯一の救いだったと言えよう。 それでも、干支神になるという一心は、にゃ〜たんの心で、未だ燻り続けていた。 次のETM12こそ、干支神になる夢を叶えるため、今は世界中を廻りながら修行中の身なのだが―――― |
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納得いかーん! | |
にゃ〜たんが発した突然の怒号。周囲に人影はなく、その声に足を止める者はいない。 しかし、にゃ〜たん渾身の叫びに、反応する声はあった。 |
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ホワーイ? いきなりどうしたのデース | |
日本語下手な外国人風の口調は、にゃ〜たんの胸元から聞こえてきた。 もぞもぞと顔を出したのは、とても小さな、それでいて胸だけは豊満な、カウガールの出で立ちをした少女だった。 彼女は牛のえと娘にして、丑の干支神、モ〜たん。 前回のETM12で存在の根源である「干支魂」を破壊され、完全に消滅する危機に陥ったものの、にゃ〜たんの活躍により、一命を取り留めた。 ただし、完全に回復するには至っておらず、自身の療養も兼ねて、にゃ〜たんの旅の付き添いを買って出ている。 ちなみににゃ〜たん専門のド変態である。 |
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モ〜たんには関係ないニャ! これはにゃあの威信に関わる大事件なんニャ! | |
ノンノン、にゃ〜たんのプロブレムは、ミーにってもベリー大事なことなのデース ……もしかして、ウマたんから届いた手紙のことデスか? |
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そうニャ! 何が十二神皇祭ニャ! にゃあが日本にいないのに、勝手にそんな大事なことを進めて…… しかも、取り仕切っているのは、“あの”ウマたんだって話じゃにゃいか! 大人しそうな顔をして、にゃあから主役の座を奪おうと企むにゃんて……絶対に許さんニャす! |
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ウマたんは、神事『店長カップ』を任されているから選ばれただけで、本人にそんな大それた意思は皆無だろう。 ただ思い込んだにゃ〜たんを、今のモーたんが止められるはずもなく。 |
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モ〜たん! 回復し始めたところ悪いけど、ソルラルゲートを使わせてほしいニャ! | |
ソルラルゲートとは、干支神達が自由に自分の守護地に戻るために許された、有り体に言ってしまえばワープゲートである。 |
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にゃ〜たんの頼みとあらば、断る理由はナッシングね〜 バーッド、代わりに今日の寝袋として、にゃ〜たんの靴下をプリーズ! |
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主役の座が掛かっている以上、背に腹は代えられニャい……分かったニャ、靴下で手を打つニャ! | |
オーケィ! 交渉成立ね! ソルラルゲート、オープン! | |
行き先はタケルの家の穴ニャ! いっくニャ〜! | |
*** *** *** |
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秋葉原にほど近い、天戸タケルの家。 かつてにゃ〜たんと出会い、干支神を廻る戦いに巻き込まれたのも、この家に引っ越してきたのが始まりだった。 にゃ〜たんが修行の旅に出ている現在、この家には予定通り一人で暮らし、普通の高校生としての生活を送っている――はずだった。 |
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平和じゃのう。吹く風は心地よく、日差しも麗らか。世は全て事もなし…… | |
あの、くつろぐなら自分の家でお願いできませんか | |
何故かこうして今も、干支神の誰かしらが、入り浸っている状況が続いている。 ちなみにこの眼鏡の女性は辰の干支神、ドラたんだ。 |
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気にするでない。お主の体から漏れている萌力(ソルラル)を浴びているだけで、わしらは体調が良くなるんじゃよ | |
人をマイナスイオン発生装置みたいに扱わないでくださいよ | |
まぁ、冗談はさておき 十二神皇祭の準備があるから寄らせてもらっただけじゃよ。あとで隣の部屋を借りるぞ? |
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あぁ、はい。いいですよ……もう諦めましたし | |
二人がそんな会話を繰り広げていた、そんな時だった。 |
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ウマたんはどーこーニャーっ! | |
部屋の隅に、ふかふかしたものがあり、そこには神の世界に通じると言われている穴が空いている。 その穴の中から、勢いよくにゃ〜たんが飛び出してきたではないか。 |
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にゃ〜たん!? | |
ミーもいるのデース! | |
いきなり帰ってくるなんてどうしたの? ……あ、そうか、十二神皇祭はモ〜たんも干支神だから参加エントリーされてるんだっけ |
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それもありマスが、ちょっとしたトラブルが発生してるネ〜 | |
にゃあの目が黒い内は、主役の座は渡さないニャーっ! | |
あー……うん、なんとなくわかったよ | |
これ、にゃ〜たん、ちょっとは落ち着かん、かっ! | |
にゃふっ!? | |
ドラたんの萌力祭具、龍扇芭蕉の一撃がにゃ〜たんの後頭部を直撃する。 |
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お師匠様! だって、だってぇ | |
だってもなにも無かろう。おぬしはアニメ本編で充分活躍したじゃろうが | |
どこの馬の骨ともしれない人間の二次創作でも、えとたまの主役はにゃあなのニャ! これだけは絶対に譲れないんニャ! | |
わかったわかった、だからもう泣くな、暴れるな | |
だからにゃあはウマたんに決闘を申し込みに戻ってきたんニャ! ハッキリとにゃあが主役だってことを思い知らせてやるんニャす! |
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だったら、まずはバトスピのルールを覚えないとのう | |
ばとすぴ? それはなんニャ? | |
十二神皇祭は、このカードゲームでより多く勝った者を優勝者とする神事 だったら、決闘もこれで行うのが筋というものじゃろう? |
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確かにね。暴力からは何も生まれないよ、にゃ〜たん | |
タケルまで……わかったニャ、そこまで言うなら、にゃあもバトスピ覚えて、それでウマたんをコテンパンにしてやるのニャ | |
では、ルールのレクチャーくらいは協力してやるかのう そうじゃ、モ〜たんも、せっかく戻ってきたんじゃし、おぬしも神事に向けてルールを覚えておくと良いぞ |
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サーンクス! 是非そうさせてもらうネ〜 | |
では…… | |
ドラたんはおもむろに立ち上がり、隣の部屋のふすまの前に立つと、勢いよく開いた。 そこにはバトルスピリッツのカードが山のように積まれた、見る者によっては垂涎の光景が広がっていた。 |
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すごいニャ、カードがいっぱいニャ! | |
Oh、これはどうしたのデスか? | |
店長さんが持ってきたんだよ。今回の神事を開催するにあたり、店長がスポンサーを通じてをもらい受けたものなんだって 自分で買うのも良いけど、古いカードには秋葉原でもお目にかかれないものもあるし、それで時間を取られてデッキが作れないと展開が送れるとか何とか |
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他の干支神もデッキの調整でよく来ておるみたいじゃぞ | |
キーたんイヌたんはほぼ毎日来てるよ。対戦相手をせがまれて、僕もすっかりルール覚えちゃったし | |
とりあえず、デッキを作る前に簡単なルールの確認からじゃな。叩き込むから覚悟するんじゃぞ | |
お師匠様、その手のハリセンは一体……それに叩き込むって | |
ピヨたんとの将棋勝負の時のように、体で覚えた方が早いからのう――いくぞ? | |
ギニャあああああああぁぁぁっ!!!! | |
それから数時間後―― |
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まぁこんなもんかのう | |
も、もう大丈夫ニャ……むしろこれ以上扱かれたら消滅してしまうニャ | |
なんとかルールを覚えたにゃ〜たん。 次は実際にデッキを使って、実戦訓練となる――はずだったが…… |
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だから何で、構築済みデッキを使うのが嫌なんだよ | |
にゃあはそんな大量生産された既製品はお断りニャ にゃあだけのオンリーワンのデッキでウマたんを倒してこそ、真の勝利、真の主役となるんニャ! |
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一回も実際に対戦したことないのに、いきなり組んだデッキで勝てるわけないって | |
……少年、わしらにできるのは、せめてまともに動くようにアドバイスをするだけじゃよ | |
ハァ……わかりました それじゃにゃ〜たん、このカードの中で軸にしたいスピリットを決めるんだ。あとはそれを活かす形でカードを足していこう |
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わかったニャ! ふんふんふ〜ん♪ どれがいいかニャ〜……あっ、これがいいニャ! これにするニャ! | |
早っ! そんなので良いの? | |
まっ、こういうものは深く悩めば良いというものでもないしのう にゃ〜たんの天性の直感に任せるのも良かろうよ |
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Oh! にゃ〜たんには負けますが、中々キュートなスピリットデース | |
うん、にゃ〜たんがそれで良いなら、それでいこう 比較的新しいカードだし、しっかり組めば、それなりに強いデッキになるよ |
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本当ニャ? だったら早速デッキを作るニャす! | |
そんなこんなで、にゃ〜たんのデッキは完成した。 |
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で、できた…… | |
こ、これがにゃあの、にゃあだけのデッキ! よし、早速試しバトルニャ! タケル、相手してくれニャ! |
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いや、その役目はわしに任せてもらおうか わしも神事が始まる前に肩慣らしをしておきたいと思っていたところでの |
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わかったニャ でもお師匠様、にゃあの最強デッキに負けても泣いちゃダメニャすよ? |
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ほほぅ、言うではないか。じゃかせ、そう容易く勝たせはせんぞ? さて、では参るとするか |
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ゲートオープン、界放!! |