卯月始めの正直者


 たくさんの妖怪と少数の人間が共存する、外界から隔離されたこの世ならざるこの世―――幻想郷。
 住んでいる人間も変わり者ばかりで妖怪と対等(もしくはそれ以上?)に渡り合っている。
 空飛ぶ巫女さん、普通の魔法使い、時を渡るメイドさん、半分幽霊の少女剣士(庭師)。そして―――
 不老不死の薬を飲んで千年の刻を生きる元月上人。
 かつて蓬莱の薬を飲んだことで月を追放された姫、蓬莱山輝夜。
 彼女を助けるために同胞を裏切った八意永琳の二人だ。
 彼女達はその罪から逃れるためにこの幻想郷でひっそりと暮らしていた。
 幻想郷の外れにある迷いの竹林。昼間でも日の光が巨大に育った竹に阻まれ、ほとんど差し込んでこないため薄暗い。
 隠れ住むにはもってこいのこの場所に、『永遠亭』と名付けた屋敷を構え、そこで長い時を過ごしてきた。


 たった二人の生活で寂しくはないのか、と思うかもしれないがその点は大丈夫だ。
 この竹林にもともと住んでいた妖兎たちをお手伝い兼ペットとして、一緒に住まわせているのだ。
 ウサギといっても元の姿から変化をしているので、耳以外は輝夜達と変わらない姿をしている。
 動物も人間も、長い時を生きると不思議な能力が身につく。

 余談だがそれは無生物にも当てはめられる。「九十九神」というのは長い歳月のうちに命を宿した道具の妖怪だ。
 鈴蘭の園で長い間毒漬けにされていた人形が命を宿すのもよく似た例だろう。
 それと同じで長い年月を生きたウサギ達は、こうして人の姿を手に入れたのである。

 そんな妖兎たちの中でも、変化以外の能力を身につけ、それを理由にリーダーを名乗る妖兎がいた。
 名は因幡てゐ。
 人を幸せにする程度の能力を持った妖兎だ。
 なんの因果か今は輝夜達と永遠亭で暮らしている。
 竹林に直接住むよりは住み心地も良いし、永琳や輝夜は優しいし、
 つい最近やってきた月のウサギをからかうのも楽しいので、てゐはここの暮らしに満足していた。


 ☆


 永遠亭には医者の心得もある永琳のための資料室がある。
 紅魔館と呼ばれる館の魔法図書館や、歴史を研究する半獣の資料庫に比べれば
 ささやかなものだが、それでも勉強熱心な永琳の書庫にはかなりの量の書物が保管されている。
 無論、量が多いということは整理するのも大変なわけで。
 永琳は年度始まりの大掃除をてゐを始めとする永遠亭のウサギ達に手伝わせていた。

「えーりん様、これはこっちで良いんですか?」
「えぇ、そうよ」
「えーりん様、この縛ってある本捨てますよ」
「ありがとう。重いから気をつけてね」
「えーりん様、お腹空きましたー」
「………もうちょっとで終わるから我慢して、ね?」
 そんなこんなで賑やかに、だけど着々と整理は進んでいた。
 しかし一匹だけつまらなさそうにそれを眺めるウサギがいた。
 リーダーであるはずのてゐだ。
 他のウサギは皆永琳に喜んでもらおうと頑張っているのに、同じように永琳が好きなはずのてゐは手伝っていない。


 その理由はここにはいない自分たちとは違うウサギが原因だった。
 月に地上の人間がやってきたときに、一匹だけ逃げてきた月ウサギ。
 レイセンという名前の月ウサギは永琳に助けられて、鈴仙・優曇華院という名前をもらった。
 しかし同時に輝夜のペットとしてもここにいることになったので、さらに「イナバ」の名がついている。
 おかげで「鈴仙・優曇華院・イナバ」という長ったらしい名前になってしまったのだが、
 本人もうあきらめているので、誰も突っ込まないでいる。
 さてその鈴仙だが、この大掃除には姿をみせていない。
 それはサボっているからではなく――どこぞの死神みたいな性格ではないので――、
 病気で寝込んでいるわけでもない。永琳にお使いを頼まれて出かけているためだ。

 それがてゐには気に入らなかった。
 永琳は鈴仙を弟子として可愛がっている、自分も勿論可愛がってもらっているが
 鈴仙に対するそれと、自分に対するそれは別物だということをてゐは知っているのだ。
 後から来た新米のくせに、自分の一番のお気に入りの永琳の隣を奪われた。
 もともとウサギは縄張りを意識する生き物だ。
 それに加えて長い年月のうちに芽生えた心が、鈴仙への嫉妬心となっててゐを苛々させていた。
(どうすればえーりん様は、もっと私を可愛がってくれるんだろう)
 片付けもせず、てゐはそんなことを考えていた。
「あー、てゐ様ー、さぼるのはだめですよぅ」
 片付けに参加していないのを一羽の妖兎に見つかり大声をあげられる。
 しかしてゐは、そんなものどこ吹く風と、軽くあしらった。
「うるさいわね、私はあんた達の仕事を監視するのが仕事なのよ」
「でもでもさぼっているとえーりん様に叱られますよぅ?」
「いいのっ! えーりん様は私を叱ったりなんてしないもん!」
 そうだ。永琳は私を叱ったりしない。
「ほぅ…どこからそんな根拠が沸いてくるのかしら?」
 地から沸きわがるように響く低い声。てゐはびくうっと体を震わせる。
 その声には聞き覚えがあるはずなのに、それを初めて怖いと感じた。
 おそるおそる振り返ると、そこには今まで見たことのない顔で立っている永琳の姿があった。
「てゐ! みんなはしっかり働いているのに、リーダーのあなたがさぼるとはどういうこと?
 最近悪戯の回数も多いし、ちょっと感心しないわね」
 永琳に叱られた。今まで怒られたことなんてなかったのに。
 悪戯をしても困ったように笑うだけで、こんな風に怒られたことなんて一度もなかった。
 それもこれもみんな全部なにもかも鈴仙が悪いのだ。
「うわぁあああああああんっ」
 永琳に怒られたショックと、鈴仙への悔しさが涙となって零れ落ちる。
 こうなったらどうしても鈴仙にふくしゅうをしてやらなければ気がすまない。
 てゐは泣きながら永遠亭を出て行った。
 残されたウサギ達はおろおろするばかり。
 それもそのはず。
 永琳があそこまでてゐを叱ったところなど、一度も見たことがなかったからだ。
「まったく……しょうがない子ね」
 永琳はてゐがどこに行ったのか、おおよその見当がついていた。
(まぁ、ウドンゲなら大丈夫でしょう)
 しばらくすれば弾幕の音が、こちらにも届いてくるだろう。
 てゐと鈴仙の実力は、純粋な力量だけで判断するならば鈴仙の方がうえだ。
 しかし性格なども加味すると、その差は拮抗するまで縮まる。
 それでも永琳は鈴仙の勝利を確信していた。
「さぁさ、てゐとウドンゲがいつ戻ってきてもいいように、片づけを終わらせてしまいましょう」
 その言葉で、困惑を残しながらもウサギ達は仕事を再開するのだった。


 ☆


 そのころ、自分が逆恨みをかっているなど露も思いもしない鈴仙は、お使いの帰りを急いでいた。
 竹林に入ったのでもう少し走れば永遠亭が見えてくるだろう。
 師匠が帰りを待っているかと思うと、自然と足も速くなる。
 しかしすぐに鈴仙の足はピタリと止まる。
(あれ? この波動は……)
 波動を感じる特殊な耳が、こちらに向かって近づいてくる存在を感知する。
 そしてその波動には感じ覚えがあった。極端に短いのでどこにいてもその波動が彼女のものだと判断できる。
「なんであの子が……」
 まさか自分を迎えに来たというわけではないだろう。
 だとすればまた自分をからかいにでも来たのだろうか。
 いや、違う。いつもより波動の揺らぎが激しい。
 本能が危険だと伝えてくる。
 その刹那、突然上空から弾幕の雨が降ってきた。
「うわわわわわっ!?」
 なんとか全弾回避した。
 まったく、いったい何を考えているというのか。
 今の弾幕は、冗談ではなく本気で放たれたものだった。
 まともにくらっても死にはしないだろうが、怪我は免れない。
「てゐっ! これはどういうこと!?」
 鈴仙はこの弾幕を放った犯人の名前を呼んだ。
「さすがに普通の弾幕じゃ通用しないか」
 上空からてゐが降りてくる。その顔に感情は見られない。
「てゐ! 危ないじゃない! 悪戯にしては限度を超えてるわよ」
「あぶない? そりゃそうよ……だって」
 再び鈴仙に向けて弾幕を放つてゐ。


「本気で消そうとしてるんだものっ!!」


 危険だ、いつものてゐとは明らかに様子が違う。
 いつも悪戯ばかりをして楽しそうに笑うてゐは、今目の前にいない。
「どうしたの、何か悪いものでも拾い食いしたの?」
 弾幕を避けながらてゐを説得するが、てゐの方は耳を閉じて、文字通り聞く耳を持とうとしない。
「あんたが……あんたがやってきてから、全部持っていかれたんだ!」
「何を言っているの!? こんなことをしたら師匠に怒られるわよ!」
「もう我慢の限界なのっ!!」
 てゐはスペルカードを取り出す。

『兎符「因幡の素兎」』

 大玉の弾幕が螺旋を描きながら放たれる。
 それと同時に、米型の弾が列を連ねて幾つもの群れを作り飛んできた。
 それはてゐのスペルの中でも、かなり強力な威力のものだ。
 それを何の躊躇いもなくつかってくるということは、もはやそれだけ本気ということだ。
(てゐ……)
 なぜ争わなければいけないのか、鈴仙にはさっぱり見当がつかない。
 しかしこのままてゐと弾幕ごっこを続けていれば、怪我は免れない。
 かといっててゐに怪我をさせるわけにもいかない。
 今までも悪戯を窘めるために弾幕ごっこをしたことがあるが、
 そのときとは状況も、経緯も争う理由も異なっている。
 まずはてゐと話さなければならない。
 しかし当のてゐ本人は耳を閉じてしまっている。
 これでは話などできるはずもない。
 それに少し頭を冷やしてもらわなければ。
 鈴仙は大きく息を吸い込むと、向かってくるスペル弾幕を見据えた。
「てゐ、どうしてあなたが私を攻撃するのかわからないけど。
 でも私もそう易々とやられたりできないの。だって私は師匠の弟子だから!」
 鈴仙もポケットからスペルカードを取り出す。
 ずっと避けに徹していたため、妖気は十分に溜まっている。
 これなら十分にてゐの弾幕を打ち消すことが可能だ。

『散符「栄華之夢(ルナメガロポリス)」!!』

 高速で無数の弾幕が全方位に放たれる。
 続いて一段階スピードの落ちた弾幕が続く。
 てゐの『因幡の素兎』に比べて地味な弾幕ではあるが、その数はてゐの弾幕を超えている。
「なっ!?」
 自分の弾幕が破られ、そのうえ反撃に出られた。
 それは予想できることのはずだ。
 しかしてゐは鈴仙が反撃に出るなど、思ってもいなかった。

 そのときてゐは自分がある思い込みをしていたことに気がついた。
 それは、鈴仙が自分を攻撃してこないということ。
 鈴仙はよほどの理由がなければ、自分を撃ってはこない。
 鈴仙は基本優しいのだ。だからわけもわからない争いでは相手を攻撃しない。
(勝手に攻撃してこないと思っていたなんて)
 そんな保障はどこにもない。
 鈴仙だって危険が迫れば攻撃だってするだろうに。
 それなのに、自分を気遣って攻撃してこないと思い込んでいたなんて。
(なんてバカなんだろう)
 大嫌いなはずなのに。
 永琳の隣を奪われたのに。
 それなのに結局自分は鈴仙の優しさを信じていたのだ。
(なんだ……私は鈴仙のこと……嫌いじゃ……)
 てゐは弾幕を避けようとしなかった。
 勝手に飛び出して、勝手に怒って、勝手に攻撃して、勝手に信じていて―――。
 そんな自分への戒めなのだ。
「……ぇーゐっ!!」
 てゐは薄れる意識の中で、自分を助けに飛んでくる鈴仙の姿を見た。



「あれ? ここは……」
「ようやく目が覚めた?」
「鈴仙!?」
 てゐは鈴仙の膝枕で介抱されていた。
 あぁやっぱりだ。鈴仙は優しい。ひねくれ者の自分とは違う。
 この優しさがあるから永琳は鈴仙を可愛がるのだろう。だから自分は………
「ど、どうしたの!?」
 突然泣き出してしまったてゐに鈴仙は慌てふためく。
「れーせん、どうしよう……私…えーりん様に嫌われちゃったよぉ……うわぁぁぁぁん」
「師匠に嫌われる? いきなりどうしたの!?」
 事の次第をまったく知らない鈴仙は何が何やらさっぱりである。
 てゐは鈴仙がお使いに行った後にあったこと、思ったことをすべて話した。


 話を聞き終えた鈴仙はこう答えた。
「それは嫌った訳じゃないよ」
「そう……なの?」
 てゐが尋ねると、鈴仙はクスリと笑った。
「だって。叱ってくれるのはその人を大切に思っているからなのよ?
 そりゃただの八つ当たりで叱り散らす人もいるみたいだけど、師匠はそんな人じゃないでしょ?」
「うん」
「好きな人がいけないことをしていたら、それをダメなことだーって教えてあげないと。
 師匠はきっとそういう思いでてゐを叱ったんだと思うわよ」
 鈴仙は話ながら、少し後悔していた。
 それはてゐの気持ちに気づいて上げられなかったこと。
 自分は師匠のように立派な薬剤師になることを目標に頑張ってきた。
 でもそれは必然的に師匠の側にいることになる。
 師匠を他のウサギたちやてゐが好いていることは知っていた。
 なのに自分ばかりが抜け駆けするような形でその近くを陣取っていたのだ。
 それは無意識のうちのこととはいえ、てゐ達からすればそういう風に見えても仕方なかっただろう。
「ごめんね……私が師匠といつも一緒にいたから………」
 その謝罪にてゐは首を横に振った。
「ううん。れーせんはえーりん様の弟子だもの。教えてもらわないといけないことが多いから、
 どうしてもってことは分かっていたの。でも、それでもやっぱり悔しかった。羨ましかった。
 色々教えてもらっているれーせんが」
「てゐ………」
「でもそれって我が儘よね。えーりん様は充分私達を可愛がってくれてるのに、
 それなのに私はれーせんを羨ましいと思ってた。それはれーせんの場所を奪いたいって
 思っていたのと同じ」
 こんなに正直に気持ちを話してくれるてゐは初めて見た。
 しかし、そのおかげでてゐの本心を聞くことができた。
 いつもは笑顔の裏で何を企んでいるのか分からない性格をしているから、
 油断のできない悪戯っ子にしか見えないのに。
 本当は寂しがりやの甘えたがりなのだ。
「てゐ。いつもみたいに嘘でしたーって笑いなよ」
「え?」
「さっき私を本気で消そうとしたでしょ? あれは勿論いつもの“嘘”なのよね?」
「そ、それは…………」
 てゐは口ごもる。さっきの弾幕は本気の本気の攻撃だった。
 本当に消えれば良いとすら思っていた。
「今日はね。てゐみたいな嘘つきが許される日なんだって。藍さんが言ってたわ」
 鈴仙は今日のお使い先で聞いた話をてゐにもしてあげた。
 それは迷い家の式神、八雲藍から聞いた外界の話。




「えいぷりるふーる? ………ってなんですか?」
「幻想教の外の書物に書かれていた人間共の風習だ。
 なんでも卯月の初めの日は誰にどんな嘘をついても許されるのだそうだ。
 どうやら一年に一度は羽目を外せる日を作っておくことでそれ以外の日には
 嘘をつくことがなくなる、という言霊結界の一種らしい。
 本当に効果があるのかは怪しいものだがな」
 それを聞いて鈴仙の頭の中で一番に思い浮かんだのは、やはりてゐのことだった。
 年がら年中嘘や悪戯ばかりのてゐにはそんな結界、1日たりとて保ちはしないだろう。
「どうした? 何か面白いことでも思い出した顔をしているな」
「いえ、うちの悪戯兎にそんな結界は通用しないだろうなぁって」
「悪戯兎……あぁ、年月を経て術を手に入れた妖兎か。
 だがそれは分からないぞ。そのえいぷりるふーるという結界が貼られるのは
 卯月の一番初めの日だけだ。卯月はその名の通り、お前達兎の月を意味する。
 その一番最初の日が嘘を封じる結界とは、これはなかなかに面白い偶然だと思わないか?」
「確かに……帰ったらてゐに話してみます。まぁ許されると知ったら、
 喜び勇んでいつも以上に嘘をつきそうですけど」
「ははは、だったら災難だな」




「それが今日よ」
 嘘をついてもいいはずの日なのに、てゐの本心を知ることができた。
 まるでてゐを皮肉っているかのようだ。
 そうか、と鈴仙は思った。

 えいぷりるふーるの持つ真の力は、このことではないのか。
 嘘をついてもいい、というのは常に嘘ばかり言っている者を戒める結界なのだ。
 いつもは嘘に騙される人の反応を見て楽しんでいる嘘つきが、この日だけは許される。
 それは許すという行為によって嘘で生まれた罪が消去されるということだ。
 いつもは罪の意識をもたない者を、あえて許すことによって逆に、
 嘘を付くことが罪になるのだと言うことを認識させるのである。
 それによって嘘の罪に気が付いた嘘つきを戒めることができるというわけだ。

「だから、さっきの嘘は許してあげるわ」
「れーせん………」
 これでてゐも自分のしたことを反省するだろうか。
 いやそんなことはどうでもいい。てゐが分かってくれればそれだけで。
 そうすれば後はきっとうまくやっていけるはずだから。
「さっ、早く永遠亭に帰りましょ。師匠や輝夜様が帰りを待ってるわよ」
 すでに陽は落ち、竹の葉の間からは満月の光りが差し込んでいる。
 これまでは隠れる対象だった満月も、今ではこうして美しいものとして眺めることができている。
 自分にとっての満月が変わったように、てゐとの関係もこれから良くしていけばいい。
 鈴仙はてゐの手を取り、永遠亭への帰りを急いだ。
 急に手を握られたことにてゐは困惑したが、素直に応じた。
「あ………」
 その手の温もりは、やっぱりとても優しいものだった。





「こぉらーっ! てゐぃっ」
「キャハハハハ、ひつかかる方が悪いのよぉーっだ」
 永遠亭はいつものように賑やかだった。
 てゐの嘘に鈴仙がひっかかり、その後を追いかけ回す。
 先日から一転して、てゐの調子は本調子……それ以上に戻っていた。
 ウサギ達も元のてゐに戻ったことを喜んでいる。
「てゐ、ウドンゲ、いい加減にしないと“怒る”わよ?」
 低い語末にてゐと鈴仙は追いかけっこをぴたりと止める。
 そり様子を見て、永琳は苦笑を浮かべた。
(まったく……てゐもウドンゲももう少し成長してくれるかと思っていたけど……
 あまり変わってないわね。でもまぁ、あの2匹はあの2匹だから良いのかもしれないわね)
 それに、と2匹の様子を見て永琳は苦笑を微笑に変える。
(多少は変わったみたいだし、ね)
 永琳の視線の先には、とても良い笑顔を浮かべるてゐと鈴仙の姿があった。

〜終章〜


☆後書☆

 東方シリーズ。エイプリルフールネタ作品です。他の東方サイトさんに触発されて今朝から書き始めたものです。結局1日中には間に合いませんでしたが。
 てゐとウドンゲのコンビは良いですよね。レミパチュの話の時もレミリア嬢をかぁいく書いてしまいましたが、今回のてゐも同じです。本心はこんな感じかなぁって。鈴仙が良い子キャラなのも私の独断です。
 今回は弾幕シーンにも挑戦。そして撃沈。あの弾幕美は表現しきれん!モチーフは花映塚です。スペカとか、ボス返しとか。その辺りは上手く使えたかなとか、思ってますが。

 本当は輝夜も出したかったんです。その他大勢のウサギ達には台詞もあるのに、輝夜は名前だけ。好きなのに。好きなのにぃっ!
 ということで次は輝夜が出せる小話を書こうかな、と思った所で後書き終了です。

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